rp2040_2.html (23115B)
1 +++ 2 date = '2024-02-22T00:00:00+09:00' 3 draft = false 4 title = 'RP2040 SDKなし2 Clock、UART' 5 +++ 6 <time>2024-02-22</time><br /> 7 <time>2024-02-27</time>: リセット解除の間違いを修正。 8 <p> 9 今回はClockとUARTを設定してパソコンに繋ぎ、キーボードからの入力をオウム返しするプログラムを作成する。 10 <p> 11 <p> 12 前回: <a href="rp2040_1.html">RP2040 SDKなしでLチカ</a><br> 13 ソースコード: <a href="https://git.mtkn.jp/rp2040">git</a>/ex2 14 </p> 15 16 <h2>動作環境</h2> 17 <ul> 18 <li>Void Linux 19 <ul> 20 <li>cross-arm-none-eabi-binutils-2.32_2</li> 21 <li>GNU Make 4.4.1</li> 22 <li>minicom version 2.7.1</li> 23 </ul> 24 </li> 25 <li><a href="https://akizukidenshi.com/catalog/g/g108461/">FT234X 超小型USBシリアル変換モジュール</a> 26 </li> 27 </ul> 28 29 <h2>Clock</h2> 30 31 <h3>リング発振回路</h3> 32 <p>RP2040にはリング発振回路というのが内蔵されている。これは自分の出力を反転させようとするもので、不安定だが高速で消費電力の少ないクロックとして用いられる。RP2040は電源を入れると、このリング発振回路を動作用のクロックとして用いている。この発振回路の周波数は、チップの製造過程での誤差、動作時の電圧、動作温度によって変動するので、正確な周波数が必要な用途には向かない。</p> 33 34 <h3>水晶発振子</h3> 35 <p>秋月電子通商で購入したRP2040マイコンボードには外部クロックとして、12MHzの水晶発振子が付属する。水晶発振子はリング発振回路より電力を消費するが、より正確である。</p> 36 37 <h3>PLL</h3> 38 <p>水晶振動子を入力として、周波数を数倍にしたものを出力するもの。電気的な話はよく知らない。データシートの「2.18.2. Calcurating PLL parameters」によると、入力周波数を<code>FREF</code>としたときの出力周波数は<code>(FREF / REFDIV) × FBDIV / (POSTDIV1 × POSTDIV2)</code>となる。これらの変数はそれぞれ設定用のレジスタに値を保存することで変更できる。</p> 39 40 <h2>UART</h2> 41 <p> 42 Universal Asynchronous Receiver/Transmitterの略。2本の線だけで通信できる。プロトコルは詳しく知らないが、rp2040がよしなにやってくれる。rp2040では同時に二個まで利用できる。どのGPIOピンを使うかもある程度自由に選べる。どのピンが使えるかはデータシートの「2.19.2. Function Select」に書かれている。今回はGPIO0とGPIO1を使う。パソコンとの接続には、秋月電子通商で売っている<a href="https://akizukidenshi.com/catalog/g/g108461/">FT234X 超小型USBシリアル変換モジュール</a>を使用した。UARTで接続するためのパソコン側のソフトウェアはminicomを使用した。僕の環境ではシリアル変換モジュールをパソコンにUSB接続すると、<code>/dev/ttyUSB0</code>として認識されるので、</p> 43 <pre><code>$ minicom -D /dev/ttyUSB0 44 </code></pre> 45 <p> 46 とすると接続できる。 47 </p> 48 49 <h2>main.s</h2> 50 <h3>初期設定</h3> 51 <p> 52 後で見るように、UARTの動作には多分水晶発振子とPLLが必要なので、まずはそれを設定する。起動後、メインのプログラムが読み込まれるまでの<code>boot2</code>は前回と同じものである。<code>main.s</code>ではまず前回と同様に初期スタックポインタとエントリーポイントを定義する: 53 </p> 54 <pre><code> .section .vectors 55 vectors: 56 .word 0x20040000 // initial SP 57 .word (reset+1) // entry point 58 </code></pre> 59 <p> 60 続いて利用するサブシステムのリセットを解除する。PLLとUARTが追加されている。今回使うUARTはUART0だけである。なお、UARTはclock_periが有効化されるまでリセット状態の解除が完了しないようなので、unreset_chkからは外してある:</p> 61 <pre><code> .section .text 62 reset: 63 // unreset gpio, pll_sys, uart0 64 ldr r0, =(1 << 22 | 1 << 12 | 1 << 5) // uart0 | pll_sys | io_bank0 65 ldr r3, resets_base 66 ldr r1, atomic_clr 67 str r0, [r3, r1] // RESETS: RESET 68 mov r1, #1 69 lsl r1, #22 70 bic r0, r1 // uart stays in reset state until clock_peri is enabled 71 unreset_chk: 72 ldr r1, [r3, #0x8] // RESETS: RESET_DONE 73 bic r0, r1 74 bne unreset_chk 75 76 /* ... */ 77 78 atomic_clr: 79 .word 0x00003000 80 resets_base: 81 .word 0x4000c000 82 </code></pre> 83 84 <h3>GPIOの設定</h3> 85 <p> 86 次にGPIOの役割を設定する。前回はLEDを点滅させるためにGPIO25をSIOに設定したが、今回はGPIO0とGPIO1をUART0にする: 87 </p> 88 <pre><code> // set gpio functions 89 ldr r3, io_bank0_base 90 mov r0, #2 // uart0 91 mov r1, #0x4 92 str r0, [r3, r1] // IO_BANK0: GPIO0_CTRL 93 mov r1, #0xc 94 str r0, [r3, r1] // IO_BANK0: GPIO1_CTRL 95 96 /* ... */ 97 98 io_bank0_base: 99 .word 0x40014000 100 </code></pre> 101 102 <h3>Clockの設定</h3> 103 <p> 104 Clockの設定をする。まずは水晶発振子を起動する。水晶発振子は起動してから周波数が安定するまで少し時間がかかるようで、その間待たないといけない。この時間は1msあれば十分だとデータシートに書いている。この待ち時間はXOSC: STARTUPレジスタに、256サイクル単位で記述する。データシートによると初期のリング発振子は最大で12MHzなので、<code>(12 * 10^6 * 1 * 10^-3) / 256 = 47</code>をこのレジスタにセットする。ところでデータシートではこの計算はリング発振子ではなく水晶発振子の周波数で書かれている。起動直後でまだ使えない水晶発振子の周波数を使うのはなんでやろ。SDKでも<code>pico-sdk/src/rp2_common/hardware_xosc/xosc.c</code>で、 105 </p> 106 <pre><code>#define STARTUP_DELAY (((((XOSC_MHZ * MHZ) / 1000) + 128) / 256) * PICO_XOSC_STARTUP_DELAY_MULTIPLIER) 107 </code></pre> 108 <p> 109 と定義されている(PICO_XOSC_STARTUP_DELAY_MULTIPLIERは1)。とりあえず47に設定しているが、試しに0や1にしても動いた。よくわからん。</p> 110 <p> 111 待ち時間を設定したら発振子を起動する。XOSC: CTRLに起動用のコマンド的なものを入力し、周波数が安定するのを待つ。</p> 112 <p> 113 以上を実装したのが以下のコード: 114 </p> 115 <pre><code> // setup xosc 116 ldr r3, xosc_base 117 mov r0, #47 // start up delay for 12MHz rosc (xosc?) 118 str r0, [r3, #0xc] // XOSC: STARTUP 119 ldr r0, =(0xfab << 12 | 0xaa0) 120 str r0, [r3, #0] // XOSC: CTRL 121 wait_xosc: 122 ldr r0, [r3, #0x4] // XOSC: STATUS 123 lsr r0, r0, #31 // STABLE bit 124 beq wait_xosc 125 126 /* ... */ 127 128 xosc_base: 129 .word 0x40024000 130 </code></pre> 131 132 <h3>PLLの設定</h3> 133 <p> 134 水晶発振子が起動できたので、次にPLLを設定する。CPUが133MHzまで対応しているので133MHzになるようにした。</p> 135 <p> 136 PLLは入力となる振動(ここでは水晶発振子の振動)を加工して周波数を上げたり下げたりする。出力の周波数は以下の式で決まる: 137 </p> 138 <pre>(FREF / REFDIV) * FBDIV / (POSTDIV1 * POSTDIV2)</pre> 139 <p> 140 FREFは入力の周波数(ここでは12MHz)で、その他の変数はプログラマが設定できる。ただしデータシートによると(FREF / REFDIV)は5MHz以上でないといけないので、REFDIVは1である。また、FBDIVは16〜320、POSTDIV1とPOSTDIV2は1〜7で、POSTDIV1とPOSTDIV2に違う値を代入する場合、POSTDIV1に大きい方を入れたほうが消費電力が少なくなるとのことなので、133MHzにするには、FBDIV=133、POSTDIV1=6、POSTDIV=2とすればいい(POSTDIV1=4、POSTDIV2=3も可能だが、pico-sdkに付属するvcocalc.pyというスクリプトのコメントには、この2つの値の差が大きい方がいいと書いている)。 141 </p> 142 <p> 143 PLL設定の手順は、FBDIVの設定、PLLとVCOの起動、VOCが安定するまで待機、POSTDIV1とPOSTDIV2の設定、Post Dividerの起動、そして最後にシステムとUARTのクロックを今設定したPLLに変更、である。以上を実装したのが以下のコード: 144 </p> 145 <pre><code> // setup pll_sys 133MHz 146 ldr r3, pll_sys_base 147 // set feedback divider 148 mov r0, #133 149 str r0, [r3, #0x8] // PLL: FBDIV_INT 150 // power on pll and vco 151 ldr r0, =(1 << 5 | 1) // VCOPD | PD 152 ldr r1, atomic_clr 153 add r1, r1, #0x4 154 str r0, [r3, r1] // PLL: PWR 155 // wait vco to lock 156 wait_vco: 157 ldr r0, [r3, #0] // PLL: CS 158 lsl r0, r0, #31 159 beq wait_vco 160 // setup post dividers 161 ldr r0, =(4 << 16 | 3 << 12) 162 str r0, [r3, #0xc] // PLL: PRIM 163 // power on post divider 164 mov r0, #8 // POSTDIVPD 165 str r0, [r3, r1] // PLL: PWR 166 167 // set system clock clksrc_pll_sys 168 ldr r3, clocks_base 169 ldr r0, =(0x0 << 5 | 0x1) 170 str r0, [r3, #0x3c] // CLOCKS: CLK_SYS_CTRL 171 // enable clk_peri 172 mov r0, #1 173 lsl r0, r0, #11 174 str r0, [r3, #0x48] // CLOCKS: CLK_PERI_CTRL 175 176 /* ... */ 177 178 atomic_clr: 179 .word 0x00003000 180 clocks_base: 181 .word 0x40008000 182 pll_sys_base: 183 .word 0x40028000 184 </code></pre> 185 186 <h3>UARTの設定</h3> 187 <p> 188 データシートによるとUART設定の手順は以下の通り: 189 </p> 190 <ul> 191 <li>リセットの解除</li> 192 <li>clock_periの設定</li> 193 <li>UARTの有効化</li> 194 <li>FIFOの有効化</li> 195 <li>転送速度の設定</li> 196 <li>フォーマットの設定</li> 197 </ul> 198 <p> 199 上の2つは既に終えている。残りの部分はこの順番どおりに設定しても動かなかった。C言語で書かれたサンプルを見ると、クロックを設定した後、転送速度の設定、UARTの有効化、FIFOの有効化の順になっている。そのとおりにすると動いた。理由はよく理解していないが、変数を設定してから起動するほうが素直ではある。</p> 200 <p> 201 転送速度はminicomのデフォルトである115200 baudに設定する。データシート「4.2.7.1. Baud Rate Calculation」の計算式において、クロック周波数を125MHzから133MHzに変えて計算して、BRDI=72、BDRF=0.157(=10/64)となる。この数値をUART: UARTIBRD、UART: UARTFBRDレジスタにそれぞれ代入する。 202 </p> 203 <p> 204 UARTの有効化はUART: UARTCRレジスタのUARTENビットをセットすることで行う。C言語のサンプルでは同じレジスタのRXE、TXEビットもセットしているが、この2つはもともと1になっているのでほっといてよさそう。</p> 205 <p> 206 FIFOの有効化はUART: UARTLCR_HレジスタのFENビットをセットすることで行う。また、同じレジスタの他のビットで、データーのフォーマットを設定できる。ここではminicomのデフォルトに合わせてWLENを8bitにする。</p> 207 <p> 208 以上をまとめると以下のようになる: 209 </p> 210 <pre><code> // setup uart0 211 ldr r3, uart0_base 212 // set baudrate 115200 213 // BDRI = 72, BDRF = 0.157 (10 / 64) 214 mov r0, #72 215 str r0, [r3, #0x24] // UART: UARTIBRD 216 mov r0, #10 217 str r0, [r3, #0x28] // UART: UARTFBRD 218 // enable uart0 219 mov r0, #1 // UARTEN 220 ldr r1, atomic_set 221 add r1, r1, #0x30 222 str r0, [r3, r1] // UART: UARTCR 223 // enable FIFO and set format 224 ldr r0, =(3 << 5 | 1 << 4) // WLEN = 8, FEN = 1 225 str r0, [r3, #0x2c] // UART: UARTLCR_H 226 227 /* ... */ 228 229 atomic_set: 230 .word 0x00002000 231 uart0_base: 232 .word 0x40034000 233 </code></pre> 234 235 <h3>UARTの入出力</h3> 236 <p> 237 設定が終わったので実際にUARTの入出力を処理するコードを書く。まずUARTからの出力は、出力したいバイトをUART: UARTDRに書き込むことで行う。その際、書き込まれたデータは一時的に出力用FIFOに保持されるので、このFIFOが満杯でないことを確認する必要がある。FIFOの状態はUART: UARTFRレジスタで確認できる。このレジスタのTXFFの値が1であればデータを書き込めないので、0になるまで待機する。関数名は<code>putbyte</code>にした。また出力したいデータは<code>r0</code>レジスタにの下位8ビットに入れられているものとした。書き込めるデーターは8ビットだけなので、<code>0xff</code>と論理積をとってから書き込んでいる: 238 </p> 239 <pre><code>putbyte: 240 ldr r3, uart0_base 241 mov r1, #1 242 lsl r1, r1, #5 // TXFF 243 txff: 244 ldr r2, [r3, #0x18] // UART: UARTFR 245 tst r1, r2 246 bne txff 247 mov r1, #0xff 248 and r0, r0, r1 249 str r0, [r3, #0] // UART: UARTDR 250 bx lr 251 252 /* ... */ 253 254 uart0_base: 255 .word 0x40034000 256 </code></pre> 257 258 <p> 259 入力はUART: UARTDRの下位8ビットを読むことで得られる。UARTからの入力は、一時的に入力用FIFOに保存される。このFIFOが空の状態でデータを読んでも意味がないので、FIFOが空でないことを確認する必要がある。これはUART: UARTFRレジスタのRXFEを読むことで確認できる。本来は入力があったときに割り込みを発生させて、それまではCPUを休ませるか別の処理をさせておくべきだが、とりあえずここではループでFIFOの状態を確認し続けている。関数名は<code>getbyte</code>にした。 260 読み込んだデータは<code>r0</code>レジスタに保存している:</p> 261 <pre><code>getbyte: 262 ldr r3, uart0_base 263 mov r1, #1 264 lsl r1, r1, #4 // RXFE 265 rxfe: 266 ldr r2, [r3, #0x18] // UART: UARTFR 267 tst r1, r2 268 bne rxfe 269 ldr r0, [r3, #0] // UART: UARTDR 270 mov r1, #0xff 271 and r0, r0, r1 272 bx lr 273 274 /* ... */ 275 276 uart0_base: 277 .word 0x40034000 278 </code></pre> 279 <p> 280 あとはこの2つの関数をループの中で交互に呼び出せば、オウム返しするだけのプログラムが完成する: 281 </p> 282 <pre><code>loop: 283 bl getbyte 284 bl putbyte 285 b loop 286 </code></pre> 287 288 <h2>リング発振回路でUARTは動くんかな?</h2> 289 <p>UARTの通信には正確なクロックが必要である。その為上では<code>clk_peri</code>として水晶発振子とPLLを用いた。ところがpico-examplesのhello_uartでは<code>main()</code>関数で水晶発振子を設定していない。そこでリング発振回路を用いてみたのだが、どうもうまく通信できない。出力されている正確な周波数も分からないのであきらめることにした。オシロスコープなんていうものは持っていない。</p> 290 291 <h3>pico-sdk</h3> 292 <p> 293 ところがどうも調べているとSDKを使った場合、デフォルトではクロック周波数は125MHzになっているらしい。どうやら水晶発振子もPLLも<code>main()</code>が呼ばれる前に設定されているようである。</p> 294 <p> 295 pico-examplesのサンプルプログラムはビルドすると自動で逆アセンブリしたファイルを出力してくれる。これを見ると、最初の256バイトは前回説明したboot2のコードで、その後ろにベクターテーブルが続く。ベクターテーブルの最初は初期スタックポインタで、<code>0x20042000</code>になっている。次はエントリーポイントで、<code>0x100001f7</code>である:</p> 296 <pre><code>10000100 <__VECTOR_TABLE>: 297 10000100: 20042000 .word 0x20042000 298 10000104: 100001f7 .word 0x100001f7 299 </code></pre> 300 <p> 301 Thumbモードなので実際のエントリーポイントは<code>1</code>引いた、<code>0x100001f6</code>である。この場所ではまず自分のCPUIDを調べて、<code>1</code>であれば待機状態に移行する。RP2040はデュアルコアである。起動直後はCPUIDが<code>0</code>のコアだけで処理をして、CPUIDが<code>1</code>のコアはプログラマが必要に応じて起動することになっている。このためCPUIDが<code>1</code>のコアは起動してすぐに待機状態に入ることがデータシートに書かれている。しかしこの処理はユーザーの書いたプログラムじゃなくて内蔵ROMにある起動用プログラムが担当するみたいに書かれてるんやけど、なんでSDKではユーザープログラムの一部として組み込んでるんかな? 302 </p> 303 <pre><code>100001f6 <_reset_handler>: 304 100001f6: 481d ldr r0, [pc, #116] ; (1000026c <hold_non_core0_in_bootrom+0xe>) 305 100001f8: 6800 ldr r0, [r0, #0] 306 100001fa: 2800 cmp r0, #0 307 100001fc: d12f bne.n 1000025e <hold_non_core0_in_bootrom> 308 </code></pre> 309 <p>上のコードの最初の<code>ldr</code>は、<code>0xd0000000</code>(M0PLUS: CPUIDレジスタ)をロードしている。最後の飛び先<code>0x1000025e</code>はCPUIDが<code>1</code>のCPUを待機させる処理である:</p> 310 <pre><code>1000025e <hold_non_core0_in_bootrom>: 311 1000025e: 4809 ldr r0, [pc, #36] ; (10000284 <hold_non_core0_in_bootrom+0x26>) 312 10000260: f001 fb9c bl 1000199c <rom_func_lookup> 313 10000264: 4700 bx r0 314 10000266: 0000 .short 0x0000 315 /* ... */ 316 10000284: 00005657 .word 0x00005657 317 </code></pre> 318 <p>内蔵フラッシュに書きこまれた関数を呼びだしている。呼びだしに使うコードは<code>0x00005657</code>(<code>'W' | 'V' << 8</code>)である。データシートを見ると、この関数は<code>_wait_for_vector()</code>という名前で、CPUIDが1のCPUを寝かしつけるのに使われると書いている。この部分のソースコードをpico-sdkで探すと<code>pico-sdk/src/rp2_common/pico_standard_link/crt0.S</code>というのが見付かった:</p> 319 <pre><code>$ find pico-sdk/src -type f | xargs grep -l _reset_handler 320 pico-sdk/src/rp2_common/pico_standard_link/crt0.S 321 </code></pre> 322 <p>このファイルによると: 323 </p> 324 <pre><code> // Only core 0 should run the C runtime startup code; core 1 is normally 325 // sleeping in the bootrom at this point but check to be sure 326 </code></pre> 327 <p>だそうである。やっぱり無駄やん。内蔵フラッシュのプログラムにバグがあってもこのコードのせいで見付かりにくくなってない?知らんけど。</p> 328 329 <p>続いて<code>.data</code>領域と<code>.bss</code>領域のコピー、初期化のようである。多分OSの本かなんかで習ったメモリマップの話:</p> 330 <pre><code>100001fe: a40d add r4, pc, #52 ; (adr r4, 10000234 <data_cpy_table>) 331 10000200: cc0e ldmia r4!, {r1, r2, r3} 332 10000202: 2900 cmp r1, #0 333 10000204: d002 beq.n 1000020c <_reset_handler+0x16> 334 10000206: f000 f812 bl 1000022e <data_cpy> 335 1000020a: e7f9 b.n 10000200 <_reset_handler+0xa> 336 1000020c: 4918 ldr r1, [pc, #96] ; (10000270 <hold_non_core0_in_bootrom+0x12>) 337 1000020e: 4a19 ldr r2, [pc, #100] ; (10000274 <hold_non_core0_in_bootrom+0x16>) 338 10000210: 2000 movs r0, #0 339 10000212: e000 b.n 10000216 <bss_fill_test> 340 341 10000214 <bss_fill_loop>: 342 10000214: c101 stmia r1!, {r0} 343 344 10000216 <bss_fill_test>: 345 10000216: 4291 cmp r1, r2 346 10000218: d1fc bne.n 10000214 <bss_fill_loop> 347 </code></pre> 348 349 <p>最後にいろいろ呼びだす:</p> 350 <pre><code>1000021a <platform_entry>: 351 1000021a: 4917 ldr r1, [pc, #92] ; (10000278 <hold_non_core0_in_bootrom+0x1a>) 352 1000021c: 4788 blx r1 353 1000021e: 4917 ldr r1, [pc, #92] ; (1000027c <hold_non_core0_in_bootrom+0x1e>) 354 10000220: 4788 blx r1 355 10000222: 4917 ldr r1, [pc, #92] ; (10000280 <hold_non_core0_in_bootrom+0x22>) 356 10000224: 4788 blx r1 357 10000226: be00 bkpt 0x0000 358 10000228: e7fd b.n 10000226 <platform_entry+0xc> 359 /* ... */ 360 10000278: 10001819 .word 0x10001819 361 1000027c: 100002dd .word 0x100002dd 362 10000280: 10001909 .word 0x10001909 363 </code></pre> 364 <p>一つめの<code>blx</code>は<code>0x10001818</code>(<code>runtime_init</code>)を、二つめは<code>0x100002dc</code>(<code>main</code>)を、最後のは<code>0x10001908</code>(<code>exit</code>)を、それぞれ呼んでいる。この<code>runtime_init</code>はアセンブリでは分かりにくいのでソースコードを探してみると、以下のものが見付かった:</p> 365 <pre><code>$ find pico-sdk/src -type f | xargs grep -l runtime_init 366 pico-sdk/src/rp2_common/pico_runtime/runtime.c 367 pico-sdk/src/rp2_common/pico_standard_link/crt0.S 368 pico-sdk/src/common/pico_sync/include/pico/mutex.h 369 </code></pre> 370 <p>最後の<code>mutex.h</code>は関係なさそう。二つめの<code>crt0.S</code>は呼びだしてるだけ。一つめの<code>runtime.c</code>が多分探しているものである。これを見るとまず各種周辺機器を一度リセットし、リセット状態を解除している。使わんやつも初期化してない?その後<code>clocks_init()</code>を呼んでいる。この関数は<code>pico-sdk/src/rp2_common/hardware_clocks/clocks.c</code>で定義されている。これを見ると、<code>xosc_init()</code>を呼んで水晶発振子を初期化した後、<code>clk_peri</code>を125MHzに設定している:</p> 371 <pre><code> clock_configure(clk_peri, 372 0, 373 CLOCKS_CLK_PERI_CTRL_AUXSRC_VALUE_CLK_SYS, 374 125 * MHZ, 375 125 * MHZ); 376 </code></pre> 377 <p>やっぱり水晶発振子じゃないとあかんのかな。</p> 378 379 <h2>CMake</h2> 380 <p>上ではビルドしたバイナリを逆アッセンブルして読んだ。わざわざこんなことをしなくてもMakefile読めばなにがどうなって最終生成物に辿りつくのか分かればいいのだが、そうもいかない。このSDKとpico-examplesにはビルドシステムとしてCMakeなるものが使われている。これがどうも複雑でよく分からない。勉強する気にもならん。上で見た<code>crt0.S</code>や<code>runtime.c</code>といったファイルも<code>hello_uart</code>で本当に使われているものなのかもよく分からない。こんな煩雑なものは本当に必要なのかな。無駄に複雑にしてるだけとちゃうんかな。特に僕は勉強用に使ってるので、ソースコードの依存関係をもっと分かりやすくしてくれないと、内部でなにがどうなってるのか理解しにくい。何度か頑張って読もうとしたが、面白くないのでやめた。数百行のファイルをあっちからこっちから<code>include</code>してるし、大文字ばかりの変数だらけで目が痛い。こんなものを扱えるというのはえらいええ頭してはるんやね。</p> 381 382 383 <h2>参考</h2> 384 <ul> 385 <li> 386 <a href="https://datasheets.raspberrypi.com/rp2040/rp2040-datasheet.pdf">RP2040 Datasheet.Raspberry Pi Foundation</a> 387 </li> 388 <li> 389 <a href="https://github.com/raspberrypi/pico-sdk">pico-sdk.github</a> 390 </li> 391 <li> 392 <a href="https://developer.arm.com/documentation/ddi0419/c/">ARMv6-M Architecture Reference Manual</a> 393 </li> 394 <li> 395 <a href="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%82%B7%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%BF">リング・オシレータ.Wikipedia</a> 396 </li> 397 <li> 398 <a href="https://www5.epsondevice.com/ja/information/technical_info/osc.html">水晶発振器とは? 原理と仕組み、水晶振動子との違い、選び方のポイントを解説.エプソン水晶デバイス</a> 399 </li> 400 </ul> 401