mailserver.html (27509B)
1 +++ 2 date = '2024-01-19T00:00:00+09:00' 3 draft = false 4 title = 'メールサーバー構築 on OpenBSD with OpenSMTPD and Dovecot' 5 +++ 6 <time>2024-01-19</time><br> 7 <time>2025-11-03</time> <code>HELO</code>コマンドで表示されるドメイン名を変更<br> 8 9 <h2>はじめに</h2> 10 <p> 11 少し前にさくらのVPSで独自ドメインのメールサーバーを構築した。当時はドキュメントを追うのに必死で構築手順を整理できていなかった。しかしスマホを使わない僕の数少い連絡手段なので、受信できなくなると困る。そこであらためてサーバーを構築し、その手順を確認することにした。あいかわらずDNSの知識は自信がない。セキュリティは自己責任で。</p> 12 13 <h2>使うもの</h2> 14 <ul> 15 <li>VPS: さくらのVPS (IPアドレスを<i>sss.sss.sss.sss</i>とする)</li> 16 <li>OS: OpenBSD 7.4</li> 17 <li>ドメイン: ムームードメイン (mtkn.jpとする)</li> 18 <li>SMTPサーバー(MTA): OpenSMTPD 7.4.0</li> 19 <li>IMAPサーバー(MDA): Dovecot 2.3.20</li> 20 </ul> 21 22 <h2>メールの仕組み</h2> 23 <p> 24 メールの送受信にはSMTPというプロトコルが使われ、この通信を担うのがSMTPサーバーと呼ばれるソフトウェアである。このサーバーはメールの転送を担うので、MTA(Mail Transfer Agent)とも呼ばれる。今回はMTAとしてOpenSMTPDというのを使う。手元のパソコン等で書いたメールは、SMTPの通信で送信側のMTAに送られ、そこから受信側のMTAに転送される。受信側のMTAでは届いたメールをユーザーごとにふりわけ、所定の場所に保存する。</p> 25 <p> 26 受信側のユーザーは、手元のパソコン等から受信側のサーバーに繋ぎ、自分宛てのメールを確認する。この時に使われるのがIMAPというプロトコルである(POPというのもあるが今回は割愛)。IMAPによるこの通信を担うのがIMAPサーバーで、メールを配達する役割を担うことから、MDA(Mail Delivery Agent)とも呼ばれる。今回MDAとしてDovecotを使用する。</p> 27 <p> 28 以上をまとめると以下のようになる: 29 </p> 30 <pre> 31 +------------+ +----------------+ 32 |MTA(mtkn.jp)|--SMTP->| MTA | 33 +------------+ +--example.com---+ 34 ^ | MDA | 35 | +----------------+ 36 | | 37 SMTP IMAP 38 | | 39 | v 40 +------------+ +----------------+ 41 |user@mtkn.jp| |user@example.com| 42 +------------+ +----------------+ 43 44 </pre> 45 <ol> 46 <li>メールを書く。</li> 47 <li>送信側のMTAに送る。</li> 48 <li>受信側のMTAに転送する。</li> 49 <li>受信者が受信側のMDAに新着メールの有無を確認する。</li> 50 </ol> 51 52 <p> 53 SMTPサーバーどうしが通信する際、スパムメールをフィルタリングする為、いくつかの方法で送信元の本人確認を行う。その際第三者としてDNS及び、サーバーのIPアドレスを管理している人(今回の場合はさくらインターネット)が登場する。DNSにはドメインをIPアドレスにひもづける情報が登録できる。またIPアドレスの管理人には、自分が借りているIPアドレスを自分のドメインにひもづける情報を登録してもらう。これらによって、メールの送信者がドメイン、IPアドレス双方から確認できるので、なりすましを防止できる仕組みである。</p> 54 55 <p> 56 最近はgmail等の大手がスパム対策を強化する一環として、以下に述べるような本人確認をすべて通らなければ受信しないようにしているらしい。</p> 57 58 <h2>MTAどうしのやりとり</h2> 59 <p> 60 以下、MTAどうしの通信内容をざっくり説明する。 61 </p> 62 63 <h3>Aレコード、MXレコードによる送信先の特定</h3> 64 <p> 65 MTAがメールを送信する際、まずは宛先のサーバーを特定する必要がある。この際に使用するのがDNSに登録されているMXレコードである。送信元のMTAはまずDNSに宛先のドメインのMXレコードを問い合わせる。するとメールの送信先のドメイン名が分かるので、続いてこの送信先のIPアドレスを問い合わせる:</p> 66 <pre> 67 MTA (mtkn.jp <i>sss.sss.sss.sss</i>) DNS 68 69 example.com宛のメールって 70 誰に送ったらええん? 71 ----------------------------------------> 72 73 mai.example.comやで(MXレコード) 74 <---------------------------------------- 75 76 mail.example.comってどこや? 77 ----------------------------------------> 78 79 <i>ddd.ddd.ddd.ddd</i>やで(Aレコード) 80 <---------------------------------------- 81 </pre> 82 <p> 83 次にこの宛先のMTAとの通信を開始する。しかし受信側のMTA(example.com)は、mtkn.jpを名乗るサーバーが本当にmtkn.jpかどうか確認する必要がある:</p> 84 <pre> 85 MTA (mtkn.jp <i>sss.sss.sss.sss</i>) MTA (example.com <i>ddd.ddd.ddd.ddd</i>) 86 こんちは。mtkn.jpです。 87 ----------------------------------------> 88 89 なりすましちゃうか確認したろ 90 </pre> 91 92 <h3>SPFレコードによる送信元の本人確認</h3> 93 <p> 94 受信側のMTAは、自分に連絡してきたサーバーが本人かどうかをDNSに問い合わせる。このときに使うのがSPFレコードである。このレコードにはドメインの所有者が、自分のドメインからメールを送信してもいいIPアドレスを指定する。受信側のMTAは送信元のIPアドレスと、このレコードに記載されているIPアドレスを比べることで、送信側のMTAがドメインの所有者に認められているMTAかどうか判断できる。</p> 95 <pre> 96 DNS MTA (example.com <i>ddd.ddd.ddd.ddd</i>) 97 mtkn.jpを名乗るやつから連絡 98 来てるんやけどこいつ本物? 99 <---------------------------------------- 100 101 IPアドレスが<i>sss.sss.sss.sss</i> 102 やったら多分本物やわ。(SPFレコード) 103 ----------------------------------------> 104 105 よっしゃ 106 </pre> 107 108 <h3>PTRレコード</h3> 109 <p> 110 次は逆にIPアドレスからドメインを辿って本人確認する。これに使われるのがPTRレコードである。このレコードはIPアドレスの管理人(ここではさくらインターネット)でないと登録できない。しかし、IPアドレスを借りるにあたって、自分の名前やら住所やらを提供しており、PTRレコードをきちんと設定した上でスパムメールを送ると、自分の身元がバレるので、スパムの抑止に繋がる。</p> 111 <pre> 112 DNS MTA (example.com <i>ddd.ddd.ddd.ddd</i>) 113 <i>sss.sss.sss.sss</i>ってIPアドレスで 114 mtkn.jpってドメイン登録されてる? 115 <---------------------------------------- 116 117 されてるで。(PTRレコード) 118 ----------------------------------------> 119 120 よっしゃ 121 </pre> 122 123 <h3>DKIM</h3> 124 <p> 125 送信側MTAが本人であることを証明するため、受信側に送るメールに署名する。署名は公開鍵方式で行うが、この鍵をドメインキーというようである。この署名が付いたメールをDKIM(DomainKey Identified Mail)という。送信側はあらかじめDNSにドメインキーの公開鍵を登録しておき、メール送信時に秘密鍵で署名する:</p> 126 <pre> 127 MTA (mtkn.jp <i>sss.sss.sss.sss</i>) MTA (example.com <i>ddd.ddd.ddd.ddd</i>) 128 129 本人確認できたわ 130 おまたせ。 131 <---------------------------------------- 132 133 userさんにメール送るで。 134 署名も付けるで。 135 ----------------------------------------> 136 </pre> 137 <p> 138 受信側はDNSから送信側のドメイン鍵の公開鍵をダウンロードし、署名を確認する:</p> 139 <pre> 140 DNS MTA (example.com <i>ddd.ddd.ddd.ddd</i>) 141 mtkn.jpが署名付きでメール 142 くれたんやけどこの署名本物? 143 <---------------------------------------- 144 145 これで確認してみて(DKIM公開鍵) 146 ----------------------------------------> 147 148 よっしゃ 149 </pre> 150 151 <h3>DMARCレコード(上記の本人確認で詐欺だと発覚した場合)</h3> 152 <p> 153 この他DNSにはDMARCレコードというものを登録することができる。これは、以上の本人確認により送信側がにせものであることが確認できた際、受信側にどのような行動を取ってほしいかを記述するものである。これにより例えば、自分を名乗る詐欺師がどこかにメールを送信した場合、受信したサーバーから自分宛てに通報するように頼める(この頼みが聞き入れられるかどうかは多分受信側MTAによる)。 154 </p> 155 <pre> 156 DNS MTA (example.com <i>ddd.ddd.ddd.ddd</i>) 157 mtkn.jpを名乗る詐欺師から 158 メールきたんやけどどないしょ? 159 <---------------------------------------- 160 161 ここ(postmaster@mtkn.jp)に通報や。 162 (DMARCレコード) 163 ----------------------------------------> 164 165 よっしゃ 166 </pre> 167 168 <h2>サーバーの設定</h2> 169 <h3>VPSの契約、ドメインの取得</h3> 170 <p> 171 VPSとドメインを契約する。今回はVPSをさくらインターネットで、ドメインをムームードメインでそれぞれ契約した。さくらのVPSは好きなISOからOSをインストールでき、管理画面も分かりやすい(他のVPSを知らないので比較はできないが)。ムームードメインは安い。管理画面も悪くはない。以前お名前.comでも借りたことがあるが、こちらは広告のメールがやたら届いてうっとうしかった記憶がある。</p> 172 173 <h3>OpenBSDのインストール</h3> 174 <p> 175 さくらのVPSにOpenBSDをインストールする。さくらインターネットが用意したISOがあるので、OS再インストールの画面からそれを選べばすぐにインストールきる。でもなんとなく気持悪いのでopenbsd.orgから本家をダウンロードした。</p> 176 <p> 177 インストールのこまかい手順は割愛するが、ひとつだけひっかかった点があるので書いておく。インストール先のディスクをセットアップし、OSに必要なファイルをインストールメディアからディスクにコピーすると以下のエラーがでてカーネルパニックになった: 178 </p> 179 <pre><code>wdc_atapi_start: not ready, st = 50 180 fatal protection fault in supervisor mode 181 trap type 4 code 0 rip ffffffff810081a9 cs 8 rflags 10282 cr 2 23a896000 cpl 6 rsp ffff80000e9df410 182 gsbase 0xffffffff81908ff0 kgsbase 0x0 183 panic: trap type 4, code=0, pc=ffffffff810081a9 184 syncing disks...18 18 18 18 18 18 18 18 185 </code></pre> 186 <p> 187 原因はあまり調べていないが、どうもインストールメディアの読み込みに失敗しているようで、インストールに必要なファイルをウェブ上からダウンロードする方法を選択すると問題なくインストールできた。 188 </p> 189 190 <h3>ファイアーフォールの設定</h3> 191 <p> 192 メールの送受信等に必要なポートを開ける:</p> 193 <ul> 194 <li>TCP 22: ssh接続用</li> 195 <li>UDP 53: DNSとの通信用</li> 196 <li>TCP 25: SMTPの通信用</li> 197 <li>TCP 587: メールクライアントからMTAへの通信用(メール送信時)</li> 198 <li>TCP 993: メールクライアントからMDAへの通信用(メール受信時)</li> 199 <li>TCP 80, 443: <code>acme-client(1)</code>によるサーバー証明書の取得用</li> 200 </ul> 201 <p> 202 以上の設定を<code>/etc/pf.conf</code>に設定する: 203 </p> 204 <pre><code>set skip on lo 205 206 block return # block stateless traffic 207 pass in log proto tcp from any to any port 22 #ssh 208 209 pass out proto udp from any to <i>DNSのIPアドレス</i> port 53 #DNS 210 pass out proto udp from any to any port 123 #ntp 211 212 pass proto icmp #ping 213 pass proto tcp from any to any port { 80, 443 } #www 214 pass proto tcp from any to any port { 25, 587, 993 } #mail 215 </code></pre> 216 <p> 217 <code>pf(4)</code>の設定を反映: 218 </p> 219 <pre><code># pfctl -f /etc/pf.conf 220 </code></pre> 221 222 <h3>DNSの設定</h3> 223 <h4>A, MX, SPF, DMARC</h4> 224 <p> 225 DNSのレコードを設定する。ムームーDNSの場合、コントロールパネルにログインし、サイドバーからドメイン管理>ドメイン操作>ムームーDNSと進み、設定するドメインの変更ボタンをクリックすると設定画面がでるので、以下のように設定する:</p> 226 <table> 227 <thead> 228 <tr> 229 <th>サブドメイン</th> 230 <th>種別</th> 231 <th>内容</th> 232 <th>優先度</th> 233 </tr> 234 </thead> 235 <tbody> 236 <tr> 237 <td></td> 238 <td>A</td> 239 <td><i>sss.sss.sss.sss</i></td> 240 <td></td> 241 </tr> 242 <tr> 243 <td>mail</td> 244 <td>A</td> 245 <td><i>sss.sss.sss.sss</i></td> 246 <td></td> 247 </tr> 248 <tr> 249 <td></td> 250 <td>MX</td> 251 <td>mail.mtkn.jp</td> 252 <td>10</td> 253 </tr> 254 <tr> 255 <td></td> 256 <td>TXT</td> 257 <td>v=spf1 mx -all</td> 258 <td></td> 259 </tr> 260 <tr> 261 <td>_dmarc</td> 262 <td>TXT</td> 263 <td>v=DMARC1;p=reject;rua=mailto:postmaster@mtkn.jp</td> 264 <td></td> 265 </tr> 266 </tbody> 267 </table> 268 269 <p> 270 ひとつめのAレコードは、ドメイン名(mtkn.jp)にIPアドレス(<i>sss.sss.sss.sss</i>)を紐付けるものである。ふたつめはmail.mtkn.jpのIPアドレスを登録するものである。みっつめのMXレコードは、このドメイン宛てのメール(user@mtkn.jp等)をどこのサーバーに送信するかを決めるものである。上記の設定では、mail.mtkn.jpに送信するようにしている。以上の設定で、user@mtkn.jp宛てのメールは、mail.mtkn.jpというサーバーに送信すればよいことが分かり、さらにこのサーバーのIPアドレスは<i>sss.sss.sss.sss</i>であることも分かる。 271 </p> 272 <p> 273 次のTXTレコードはSPFレコードである。v=spf1でSPFのバージョンを示し、mxでドメインのMXレコードに登録されたIPアドレスからの送信を許可し、-allでそれ以外のIPアドレスからの送信を禁止している。 274 </p> 275 <p> 276 最後のものはDMARCレコードである。v=DMARC1でバージョンを示し、p=rejectで、本人確認をクリアしなかったメールについて、その受信者が受信を拒否するように指定している。rua=mailto:postmaster@mtkn.jpでは、本人確認をクリアしなかったメールを受信した場合の通報先を指定している。</p> 277 278 <h4>PTR</h4> 279 <p>PTRレコードを設定する。さくらのVPSの場合、VPS管理画面にログインし、ネットワーク>ホスト名逆引き登録と進み、カスタムホスト名に自分のドメイン名(mtkn.jp)を入力する。 280 </p> 281 282 <h3>OpenSMTPDの設定</h3> 283 <h4>ユーザーの作成</h4> 284 <p> 285 メールの送受信を担当するユーザーを作成する:</p> 286 <pre><code># useradd -m -c "Virtual Mail" -d /var/vmail -s /sbin/nologin vmail 287 </code></pre> 288 289 <h4>サーバー証明書の取得</h4> 290 <p> 291 <code>httpd(8)</code>の設定ファイルを作成する。<code>/etc/examples</code>からサンプルの設定ファイルをコピーして編集する。変更箇所はドメイン名だけでいい。編集後、httpdを起動する。</p> 292 <pre><code># cp /etc/examples/httpd.conf /etc/ 293 # vi /etc/httpd.conf 294 # echo httpd_flags= >> /etc/rc.conf.local 295 # rcctl start httpd 296 # rcctl enable httpd 297 </code></pre> 298 299 <p> 300 続いて<code>acme-client(1)</code>を使ってLet's Encryptでサーバー証明書を発行する。まずはこちらもサンプルの設定ファイルをコピーしてドメイン名を変更する。その後、<code>acme-client(1)</code>を実行し、さらに<code>cron(8)</code>に登録することで、証明書が自動で更新されるようにする。</p> 301 <pre><code># cp /etc/examples/acme-client.conf /etc/ 302 # vi /etc/acme-client.conf 303 # acme-client -v mail.mtkn.jp 304 # crontab -e 305 </code></pre> 306 307 <pre><code>#minute hour mday month wday [flags] command 308 ~ 2 * * * acme-client mail.mtkn.jp && rcctl restart smtpd 309 </code></pre> 310 311 <h4>ドメインキーの作成とDNSへの登録</h4> 312 <p> 313 OpenSMTPD用のDKIMフィルターをインストールする。 314 </p> 315 <pre><code># pkg_add opensmtpd-filter-dkimsign 316 </code></pre> 317 318 <p> 319 ドメインキーとしてRSAの秘密鍵と公開鍵を作成する。DNSのTXTレコードの制約により、鍵の長さは1024ビットにする。 320 </p> 321 <pre><code># openssl genrsa -out /etc/mail/dkim/private.key 1024 322 # openssl rsa -in /etc/mail/dkim/private.key -pubout -out /etc/mail/dkim/public.key 323 # chown -r _dkimsign:_dkimsign /etc/mail/dkim 324 # chmod 0400 /etc/mail/dkim/private.key 325 </code></pre> 326 327 <p>作成したドメインキーの公開鍵をDNSに登録する:</p> 328 <table> 329 <thead> 330 <tr> 331 <th>サブドメイン</th> 332 <th>種別</th> 333 <th>内容</th> 334 <th>優先度</th> 335 </tr> 336 </thead> 337 <tbody> 338 <tr> 339 <td>selector1._domainkey.mail</td> 340 <td>TXT</td> 341 <td>v=DKIM1;k=rsa;p=<i>公開鍵</i></td> 342 <td></td> 343 </tr> 344 </tbody> 345 </table> 346 347 <p> 348 サブドメインのselector1は以下のsmtpd.confで<code>filter-dkimsign</code>の-sオプションに 349 指定してものと同じものであれば他のものでもいい。</p> 350 351 <h4>smtpd.confの設定</h4> 352 <p> 353 /etc/mail/smtpd.confを以下の通り変更:</p> 354 <pre><code># 認証に使用するサーバー証明書と秘密鍵を"mtkn.jp"という名前で登録。 355 # 証明書のファイルは先程acme-client(1)で取得したもの。 356 pki mtkn.jp cert "/etc/ssl/mail.mtkn.jp.fullchain.pem" 357 pki mtkn.jp key "/etc/ssl/private/mail.mtkn.jp.key" 358 359 # テーブルの登録 360 # ローカルに届いたメールの転送を設定するテーブル 361 table aliases file:/etc/mail/aliases 362 # ユーザーの名前と暗号化されたパスワードのテーブル 363 table passwd file:/etc/mail/passwd 364 # メールの転送を設定するテーブル 365 table virtuals file:/etc/mail/virtuals 366 367 # フィルターの登録 368 # ドメインキーによる署名を付加するフィルター 369 filter dkim_sign proc-exec\ 370 "filter-dkimsign -d mail.mtkn.jp -s selector1\ 371 -k /etc/mail/dkim/private.key" user _dkimsign group _dkimsign 372 # DNSの逆引き(PTRレコード)ができなかった場合に受信を拒否するフィルター 373 filter check_rdns phase connect match !rdns disconnect "550 no rDNS." 374 # 正引き(Aレコード)と逆引き(PTRレコード)でDNSのレコードが一致しなかった 375 # 場合に受信を拒否するフィルター 376 filter check_fcrdns phase connect match !fcrdns disconnect "550 no FCrDNS." 377 378 # 各ネットワークインターフェース毎の処理を設定。 379 listen on socket 380 listen on lo0 381 # vio0というインターフェースの25番ポートに届いたものに関する設定。 382 # 外部からmtkn.jp宛に届いたものの処理である。 383 # 最初に登録した証明書と秘密鍵を使ってMTAの本人確認をし、 384 # 上で設定したDNSに関するフィルターを適応。 385 listen on vio0 port 25 tls pki mtkn.jp hostname "mail.mtkn.jp"\ 386 filter { check_rdns, check_fcrdns } 387 # vio0というインターフェースのsubmission(587番)ポートに関する設定。 388 # mtkn.jpのユーザー(e.g. user@mtkn.jp)から任意の人宛に送信される 389 # メールに関する設定。 390 # 上と同様に"mtkn.jp”という名前で登録されたpkiを使ってMTAの本人確認をし、 391 # "passwd"という名前で登録したパスワードで認証し、 392 # さらにドメインキーでメールに署名する。 393 listen on vio0 mask-src port submission smtps pki mtkn.jp\ 394 hostname "mail.mtkn.jp" auth <passwd> filter dkim_sign 395 396 # 各種メールの処理を定義する。 397 # 各処理が実行される条件はこの後定義する。 398 # ローカルメールはデフォルトのまま 399 action "local_mail" mbox alias <aliases> 400 # 自分のドメイン宛のメールは/var/vmail/以下に振り分けてmaildir形式で保存。 401 action "domain" maildir "/var/vmail/%{dest.domain:lowercase}/%{dest.user:lowercase}"\ 402 virtual <virtuals> 403 # 他のドメイン宛ては宛先へ転送。 404 # 他のsmtpサーバーとの接続を確立する際にデフォルトではこのコンピュータのホスト名(僕の場合"sakura.mtkn.jp")で 405 # 自己紹介しており、DNSレコードが見付からないとおこられていたため helo "mtkn.jp" を追加 406 action "outbound" relay helo "mtkn.jp" 407 408 # どういう条件でどういう処理をするかを定義する。 409 # 任意の送信元から自分のドメイン宛ては上で定義したdomainという処理をする。 410 # ここでは/var/vmail/以下に振り分けて保存する。 411 match from any for domain mtkn.jp action "domain" 412 # このサーバー内でのメールはlocal_mailとして処理。 413 match from local for local action "local_mail" 414 # このサーバー内から他所へのメールは宛先に転送 415 match from local for any action "outbound" 416 # 外部から来た他所宛てのメールは認証されているものに限り転送。 417 # authを忘れると多分このサーバー経由で迷惑メールが送られる危険がある。 418 match auth from any for any action "outbound" 419 </code></pre> 420 421 <h4>各テーブルの作成</h4> 422 <p> 423 上記の設定ファイルの<code>table</code>で指定したテーブルを作成する。<code>/etc/mail/aliases</code>は特に変更しなくてもいい。<code>/etc/mail/passwd</code>にはメールアカウントと暗号化されたパスワードを保存する。パスワードの暗号化には<code>smtpctl(8)</code>を使う:</p> 424 <pre><code># echo user@mtkn.jp:$(smtpctl encrypt) >> /etc/mail/passwd 425 <i>パスワードを入力し、エンター、Ctrl-D</i> 426 </code></pre> 427 428 <p> 429 <code>/etc/mail/virtuals</code>にはメールの転送を設定できる。以下のようにする:</p> 430 <pre><code>abuse@mtkn.jp user@mtkn.jp 431 postmaster@mtkn.jp user@mtkn.jp 432 webmaster@mtkn.jp user@mtkn.jp 433 user@mtkn.jp vmail 434 </code></pre> 435 <p> 436 この設定で、例えばabuse@mtkn.jp宛てのメールがuser@mtkn.jpに転送される。abuse, postmaster, webmasterはなんか一応作っとけみたいに書いてたけど必要なんかな? 437 </p> 438 439 <h3>Dovecotの設定</h3> 440 <p> 441 MDAとして<code>dovecot(1)</code>をインストールする。</p> 442 <pre><code># pkg_add dovecot 443 </code></pre> 444 <p> 445 dhparamを作成する(時間がかかる): 446 </p> 447 <pre><code># openssl dhparam -out /etc/ssl/dh.pem 4096 448 </code></pre> 449 450 <p> 451 わかりにくい設定ファイルをどけてシンプルなものに書き直す: 452 </p> 453 <pre><code># mv /etc/dovecot/dovecot.conf /etc/dovecot/dovecot.conf.orig 454 # vi /etc/dovecot/dovecot.conf 455 </code></pre> 456 <p> 457 ドキュメントは公式ウェブサイトで確認できる。分量が多すぎて読む気にならない。サンプルの設定ファイルにも各項目の説明と既定値が書いてあるがこれも分かりにくい。パスワードが漏洩するのはとりあえず避けたいので、<code>ssl = required</code>と暗号化されていないIMAPを<code>port = 0</code>として無効にする。他はとりあえず以下の設定で動く:</p> 458 <pre><code># IPv4は全て監視 459 listen = * 460 461 # SSL接続のみ許可 462 ssl = required 463 464 # SSLに使用するファイル 465 ssl_cert = </etc/ssl/mail.mtkn.jp.fullchain.pem 466 ssl_key = </etc/ssl/private/mail.mtkn.jp.key 467 ssl_dh = </etc/ssl/dh.pem 468 469 # メールの保存場所は各ユーザーのホームディレクトリ。 470 # ホームディレクトリの場所は以下のuserdbで設定。 471 mail_location = maildir:~ 472 473 # パスワードのファイル。 474 # OpenSMTPDと共有。 475 passdb { 476 args = scheme=BLF-CRYPT /etc/mail/passwd 477 driver = passwd-file 478 } 479 480 # ユーザーの設定。 481 # ホームディレクトリは/var/vmail/<i>ドメイン</i>/<i>ユーザー名</i> 482 userdb { 483 args = uid=vmail gid=vmail home=/var/vmail/%d/%n 484 driver = static 485 } 486 487 # 使用するプロトコル。 488 protocols = imap lmtp 489 490 # SSLを使ったIMAPSのみを許可。 491 service imap-login { 492 inet_listener imaps { 493 port = 993 494 ssl = yes 495 } 496 # Disable imap 497 inet_listener imap { 498 port = 0 499 } 500 } 501 </code></pre> 502 <pre><code># rcctl start dovecot 503 # rcctl enable dovecot 504 </code></pre> 505 506 <p> 507 サーバーの証明書が更新される際に<code>dovecot(1)</code>も再読み込みされるように<code>cron(8)</code>に追加しておく: 508 </p> 509 <pre><code>crontab -e 510 </code></pre> 511 512 <pre><code>#minute hour mday month wday [flags] command 513 ~ 2 * * * acme-client mail.mtkn.jp && rcctl restart smtpd && rcctl reload dovecot 514 </code></pre> 515 516 <h3>テスト</h3> 517 <p> 518 手元のメールクライアントから送受信のテストをする。特にgmail等に送った際に迷惑メールに分類されないかどうか確認する。以上の設定で、gmailへの送受信は問題なかった。また、<code>neomutt(1)</code>、<code>thunderbird(1)</code>からログイン及び送受信できることも確認した。</p> 519 <p> 520 <date>2025-11-03</date> <code>smtpd.conf</code>に<code>helo "mtkn.jp"</code>を追加し、<a href="https://www.mail-tester.com/">mail-tester.com</a>というサイトにてテストしたところ満点をもらえた。gmailへの送信でよく迷惑メールに分類されていたが、<code>HELO</code>のときにDNSに登録されていないホスト名を返していたのが原因かもしれない。</p> 521 522 <h2>参考文献</h2> 523 <ul> 524 <li><a href="https://unixsheikh.com/tutorials/arch-linux-mail-server-tutorial-part-1-what-is-email.html">Arch Linux mail server tutorial - part 1 - What is email?.unixsheikh.com</a></li> 525 <li><a href="https://unixsheikh.com/tutorials/arch-linux-mail-server-tutorial-part-2-opensmtpd-dovecot-dkimproxy-and-lets-encrypt.html">Arch Linux mail server tutorial - part 2 - OpenSMTPD, Dovecot, DKIMproxy, and Let's Encrypt.unixsheikh.com</a></li> 526 <li><a href="https://unixsheikh.com/tutorials/arch-linux-mail-server-tutorial-part-3-get-dns-right-it-is-important.html">Arch Linux mail server tutorial - part 3 - Get DNS right, it's important!.unixsheikh.com</a></li> 527 <li><a href="https://man.openbsd.org/smtpd">smtpd(8).OpenBSD Manual Pages</a></li> 528 <li><a href="https://man.openbsd.org/smtpd.conf">smtpd.conf(5).OpenBSD Manual Pages</a></li> 529 <li><a href="https://man.openbsd.org/httpd">httpd(8).OpenBSD Manual Pages</a></li> 530 <li><a href="https://man.openbsd.org/httpd.conf">httpd.conf(5).OpenBSD Manual Pages</a></li> 531 <li><a href="https://man.openbsd.org/acme-client">acme-client(1).OpenBSD Manual Pages</a></li> 532 <li><a href="https://man.openbsd.org/acme-client.conf">acme-client.conf(5).OpenBSD Manual Pages</a></li> 533 <li><a href="https://doc.dovecot.org/">Dovecot manual — Dovecot documentation</a></li> 534 </ul> 535